XBeeモジュールには無線方式ZigBeeやWi-Fi、アンテナタイプ、無線性能などによって多くのタイプがあります。このページではそれぞれの特長や違い、選び方について説明します。下表は、方式の違いをまとめたものです。XBee ZB、XBee Wi-Fi、XBee 802.15.4とのそれぞれの間では同じXBeeシリーズであっても通信方式が異なるので相互に直接通信を行うことは出来ません。
方式
型名
| リンク | バジェット 参考価格
| 特長
| ZigBee
| XBee ZB
| 99dB
| 1700円
|
ZigBee 2007に準拠しセンサネットワークに | 適したXBeeモジュールです。 XBee ZigBeeや S2 S2B Series 2などと表示 されている場合があります。 XBee PRO ZB
| 112dB
| 2800円
| Wi-Fi
| XBee W-Fi S6
| 112dB
| 3500円
|
無線LAN規格802.11b/g/nに対応しIPネット | ワークに直接接続可能なXBeeモジュールで す。S6BはS6の後継ですがコマンドの書式に 違いがあるので注意が必要です。 XBee W-Fi S6B
| 109dB
| 3680円
| IEEE | 802.15.4 XBee 802.15.4
| 92dB
| 1830円
|
マルチポイントのセンサネットワークに対応 | した初代XBeeモジュールです。足回り部分は ZigBeeと同じ通信方式ですが、Digi社の独自 通信方式です。 XBee PRO 802.15.4
| 100dB
| 3340円
| |
現時点でXBeeといえば、ZigBee方式のXBee ZBが主流です。XBee ZBは「XBee ZB」のほか、「XBee ZigBee」や「XBee S2」、「XBee S2B」、「XBee Series 2」などと表示されています。これら全てがZigBeeに対応しています。(ファームウェアにZNet 2.5という古いタイプのXBeeモジュールもあります。この場合であっても、X-CTUというソフトで最新のZigBeeのファームウェアを書き込むことが出来ます。)
XBee ZBモジュールには「XBee PRO ZB」のように「PRO」の文字が入ったものと、「XBee ZB」のようにPROのつかないタイプがります。これらの違いは無線の到達距離や電源の電圧や電流の仕様、そして大きさ(PROの方がお尻が長い)です。PROの有無にかかわらず通信方式は同じですので、XBee PRO ZBとXBee ZBとの相互間で通信が行えます。
上表の「リンクバジェット」は大きいほど通信可能な距離が長くなります。XBee PRO ZBとXBee ZBとは13dB(飛距離で約4.5倍)の違いがあります(アンテナの種類によっても距離は変わります)。
値段も違いPROの方が割高です。一般的には、ACアダプタ駆動の場合はXBee PRO ZBを、乾電池駆動の場合はXBee ZBを使います。PROはパワーアンプなどを搭載している分、電源仕様が厳しく、乾電池駆動に向いていないからです。
なお、当サイトで配布している「XBee ZigBee/Wi-Fi管理ライブラリ ZB Coord API」は主にこのXBee ZBに向けて開発したものです。XBee Wi-Fiにも対応していますが、未だ実績や当サイトでの情報が少ないです。どちらかと言えば、当サイトでXBee ZBに慣れたかたが、次のステップに進む際に同じライブラリでXBee Wi-Fiも使えることに便利さを感じていただけるものと思います。また、XBee IEEE 802.15.4モジュールに対応する予定はありません。
XBeeモジュールには、アンテナの種類の違いで「パターンアンテナ」、「ワイヤーアンテナ」、「チップアンテナ」、「RPSMAコネクタ」、「U.FLコネクタ」などのタイプがあります。アンテナタイプの違いで見た目やケースへの入れ方が異なるだけでなく、アンテナの性能にも違いがあります。
お奨めはワイヤーアンテナタイプ(上の写真の中央)です。一方、パターンアンテナ、チップアンテナについては性能が低い上に基板上のアンテナ周辺に回路や金属を近づけないような留意が必要です。
RPSMAコネクタとU.FLコネクタのタイプは性能重視の仕様です。親機となるCoordinatorやACアダプタで動かすXBee PROを搭載した機器に最適です。ケースに組み込む場合はU.FLコネクタタイプが良いでしょう。なお、RPSMAコネクタとU.FLコネクタタイプのXBeeモジュールにはアンテナが付属しておらず別売りです。U.FLタイプのアンテナを少しでも安く入手したい場合は、東京コスモス(tocos)のTWE-AN-099を代用することが出来る可能性があります。本ページの執筆時点ではDiGi純正品と東京コスモス品とは同じ商品のように見受けられます。見た目、特性ともに違いが全く分からないので製造元および商品そのものは同じだと思いますが、販売しているメーカや型番が異なるので電波法上に問題かあるかもしれません。(詳細:認証を受けたアンテナと同じものであっても、その性能を維持するための管理方法などが異なる可能性があり、厳密には使用してはならない可能性があります。とはいえ東京コスモスも適切な管理を行って出荷しているはずです。また全くの同一品の場合、違法であることを立証することが出来ないと思います。※本記述に関して当方は一切の責任を負いません。また明確に違法であると判明した場合は本文を削除いたします。)
タイプ
利得
| 特長
| パターンアンテナ
| -0.5dBi
|
アンテナの突起の無い組み込み向けのタイプ | です。基板上のアンテナ周辺から部品や金属 を遠ざける必要があります。(実装に要注意) チップアンテナ
| -1.5dBi
| ワイヤーアンテナ
| 1.5dBi
|
性能と使い勝手のバランスのとれたタイプ | RPSMAコネクタ
| 2.1dBi
|
性能重視タイプだがアンテナ別売りです。 | U.FLコネクタ
| 2.1dBi
|
同上です。ケース取り付けに最適です。 | |
なお、XBee ZBシリーズには他にも「PROGRAMABLE」と呼ばれるアプリケーション用マイコンを搭載したタイプもありますが、あまり普及していません。PICやArduino(AVR)など使い慣れた安価なマイコンに接続するのが良いでしょう。
XBee Wi-FiモジュールはIPネットワークである無線LANに直接、接続することが出来るので、通信プロトコルの変換なしにパソコンなどから直接XBee Wi-Fiモジュールにアクセスすることが出来ます。つまり、1個から動かせる点に特長があります。
前述のとおり、現時点でS6シリーズとS6Bシリーズの2種類が販売されており、制御コマンドのフォーマットが異なります。当サイトで配布している「XBee ZigBee/Wi-Fi管理ライブラリ ZB Coord API」は自動で違いを検出し適切なフォーマットで通信できるように両対応していますが、当方のライブラリを使わずに自力で全て組むような場合は注意が必要です。
アンテナタイプは、パターンアンテナ、RPSMAコネクタ、U.FLコネクタなどがあり、外付けアンテナはXBee ZBと共通です。