ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ方式編 - 最新放送技術

              (作成:2006年03月)      地デジTopへ戻る
              (更新:2008年05月)

スーパーハイビジョン(スーパーHD)

  NHKは、現在のハイビジョン放送よりも高解像度のスーパーハイビジョン
  の研究を行なっています。映像の情報量はハイビジョンの約16倍の超高精細
  です。現在は、撮影技術、録画技術、伝送方式などの基礎研究段階です。
  2006年末の紅白歌合戦ではスーパーハイビジョンカメラによる撮影が行なわ
  れました。2015年には21GHz帯(Kaバンド)を使ったBS実験放送が行なわれる
  予定ですが、2011年のBSアナログ放送の終了に伴って12GHz帯(Kuバンド)が
  利用可能になるので12GHz帯で実験が行われる可能性もあります。
  実験放送の10年後の2025年には家庭用の本放送を開始する予定です。

高度衛星デジタル放送方式の概略諸元 (暫定:2008年5月)
項目 現行BS
ISDB-S
高度衛星デジタル放送(暫定)
12GHz帯Kuバンド利用
情報レート 52Mbps 70Mbps 126Mbps 140Mbps 186Mbps
衛星中継器 1中継器 1中継器 1中継器 2中継器 2中継器
受信アンテナ 45 cm 45 cm 120 cm 45 cm 60 cm
変調方式 8PSK 8PSK 32APSK 8PSK 16APSK
ビット/シンボル 3 bit 3 bit 5 bit 3 bit 4 bit
符号化率 2/3(67%) 3/4(75%) 4/5(80%) 3/4(75%) 3/4(75%)
シンボルレート 28.86Msps 32.5941Msps
ロールオフ率 0.35 0.1

スーパーハイビジョン概略諸元 (暫定:2007年5月)
項目 スーパーハイビジョン ハイビジョン(現行)
解像度 7680×4320
1920×1080 (BS)
1440×1080 (UHF)
アスペクト比 16:9 16:9
撮影情報量 約24Gbps 約1.5Gbps
画像符号化方式 MPEG-2, H.264 MPEG-2
映像レート 600Mbps (MPEG2,Ka)
180Mbps (H.264,Ka)
124Mbps (H.264,Ku)
11〜80Mbps
音声方式 22.2マルチチャンネル 5.1マルチチャンネル
音声レート 7M〜28Mbps(Ka)
2Mbps(AAC,Ku)
48k〜384kbps
放送形態 BS(21.4〜22GHz Kaバンド)
BS(12GHz帯Kuバンド)
BS(12GHz帯Kuバンド)
地上波(UHF帯)
帯域幅 300MHz (21GHz帯Ka)
76MHz/96スロット(Ku)
34.5MHz/48スロット(Ku)
5.57MHz/13セグ (UHF)
放送レート 500Mbps (21GHz帯Ka)
140Mbps (12GHz帯Ku)
 24Mbps (Ku)
16.8Mbps (UHF)
計画 実験放送ka:2015年(予定)
本放送開始:2025年(予定)
実験放送 :1989年(MUSE)
本放送開始:2000年
本表の内容は暫定的なものです。
将来に変更があるものと思って下さい。
また、未確認の情報も含まれています。


4Kピュアシネマ(4K Pure Cinema)

  映画館などで導入されているデジタルシネマ上映システムには、2Kデジタル
  シネマシステム(2k Digital Cinema)と4Kピュアシネマシステムがあります。
  それぞれの解像度は以下のとおりです。

2Kデジタルシネマと4Kピュアシネマシステム
名称 解像度 階調数
4Kピュアシネマ 4096×2160 48bit YCbCr
2Kデジタルシネマ 2048×1080 48bit YCbCr
フルHD(参考) 1920×1080 24bit YCbCr



最新放送技術の概略

  広域エリア(関東,関西,中部)以外の方々にとっては、広域放送局が見れなく
  なったり、広域エリア内の方々にとっても、県域局が見れなくなりといった
  これまでのアナログ放送よりも受信可能なチャンネル数が減ってしまう問題
  が発生しています。

  しかも、周波数不足を補う為に地上デジタル放送へ移行する背景を考えると、
  新たな周波数での中継は考えられません。

  このような問題の対策には、以下のような、大きく3つの取組みがされてい
  ます。

  (1)アダプティブアレーアンテナ
  複数の受信波に位相と利得を変化させて合成することで、特定の経路の電波
  すなわち遠くからの反射波を抑圧する技術です。

  (2)波形等化器
  長期の信号をFFTによって解析して遠くからの反射波を抑圧する技術です。

  (3)同一周波数中継
  適応アレーアンテナ技術を応用して自己の送信波の回り込みを防止する中継
  技術です。

勉強中

  現在、勉強中ですので、間違いなどがありましたら
掲示板から連絡ください。
  各タイトルの末尾の「?」マークはGoogle検索用です。

アダプティブアレーアンテナ(適応アレーアンテナ) ?

  一つのアンテナの場合は指向性が一定していますが、複数のアンテナを使っ
  て受信信号の利得と位相を変化させることで、アンテナの指向性を変化させ
  ることができます。

     __アンテナ
     \/
     │1 ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━┓
     └──┨LNA┠─┨可変位相器┠─┨MIX┠→┨合成┃
        ┗━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━┛ ┃  ┃
     __  ↑利得 G1  ↑位相 P1         ┃  ┃
     \/                      ┃  ┃
     │2 ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━━┓ ┃  ┃
     └──┨LNA┠─┨可変位相器┠─┨MIX┠→┨  ┃
        ┗━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━┛ ┃  ┃
     __  ↑利得 G2  ↑位相 P2         ┃  ┃
     \/                      ┃  ┃
     │3 ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━━┓ ┃  ┃
     └──┨LNA┠─┨可変位相器┠─┨MIX┠→┨  ┃
        ┗━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━┛
         ↑利得 G3  ↑位相 P3

  上図は3つのアンテナを使った適応アレーアンテナの例です。適応アレーは
  無線LANのMIMO方式で使用されている方式で複数のアンテナに利得と
  位相を変化させて合成しています。
  アンテナ1で受信した電波に妨害波が含まれていたとします。そこで、アン
  テナ2で受信した信号の位相を調整して妨害波と逆位相になる信号を作りま
  す。さらに、利得G2を調整して、アンテナ1に含まれる妨害波と同じ振幅
  にすることでアンテナ1で受信した妨害波を打ち消します。
  このような動作をそれぞれのアンテナがそれぞれの他のアンテナとの間で実
  施して相互の作用で、妨害波の含まれない信号を受信することが出来るよう
  になります。
  以上のような操作を受信チューナーが自動で実施しなければなりません。受
  信機は最も受信品質が高くなるように、それぞれの利得と位相を変化させて
  調整します。さらに、放送局の方向や周波数によっても変化するのでチャン
  ネル毎に適切な利得と位相を変更する必要があります。

波形等化器(ガードインターバル越え)?

  ガードインターバル時間を越えるような遅延波を抑圧する為に開発が進めら
  れているのが、波形等化器です。
  時間領域での波形等化は、一つの受信信号を複数に分けて、それぞれの信号
  に利得と遅延量を変化させて減算します。

  現在、NHKが開発しているのは周波数領域での波形等化です。遅延を含ん
  だ複数シンボルの受信信号をFFTにて周波数領域に変換して波形を等化し
  ます。具体的な方法は、理解できていません。

同一周波数中継(同一チャンネル干渉除去機能付き回り込みキャンセラー)?

  放送局から受信した放送波と同じ周波数を使って中継する技術です。放送局
  から受信した電波を、そのまま送信すると、送信波が受信アンテナに回り込
  むために、送信波が乱れてしまい正しく中継することが出来ません。
  そこで、適応アレーアンテナを利用して、自分の送信波を受信しないように
  した装置が開発されています。
  また、受信器にも本局からの影響を防止する為に波形等化技術が必要です。

      __受信アンテナ ←…回り込み… __送信アンテナ
      \/               \/ →
      │  ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ │ 中継波×
      └──┨LNA┠─┨送信アンプ┠─┘
         ┗━━━┛ ┗━━━━━┛
        __
       _\/適応アレー × ←………  __送信アンテナ
      _\/ アンテナ         \/ →
      \/  ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ │ 中継波○
      └──┨AAA┠─┨送信アンプ┠─┘
         ┗━━━┛ ┗━━━━━┛

ワンセグ連結再送信

  各放送局のワンセグ放送と自営放送を合計で13セグメントまでを束ねて、
  再送信するシステムが開発されています。(NHK技研2007)
  地下街などでのワンセグ対策用ギャップフィラー装置として注目されていま
  す。

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