ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ設計編

アンテナ部品

作成:2003年11月
更新:2005年03月
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自作部品のメリット

  アンテナ部品って、いつでも手に入りますか? 比較的、大きな電気店や、 日本橋や秋葉原の電気街でも、全てのアンテナ部品をそろえているような店 は、少ないでしょう。 また、受信対策のために使用するアンテナ部品は確実な効果が見込めるわけ ではありません。アンテナ部品の特性の調整が必要だったり、必要かと思っ たアンテナ部品が必要でなくなる場合も多いでしょう。
  さらに、市販のアンテナ部品は、使われている電子部品の値段に対して高価 です。専門メーカがほぼ独占的に販売していることと、設計に多くのノウハ ウが必要なためだと思います。異業種のメーカからは安価なアンテナ部品が 売られていますが、中には粗悪な回路も散見され、課題を対策のための部品 の場合は、何をやっているのか分らない状況に陥ります。
このように、いつでも簡単に試したり修正できる点が、自作のメリットだと 思います。


自作部品の注意点

 まず、自作部品は受信に課題があった場合の対策のための実験や研究に使用してください。恒久的に使用するものは市販品を使用するのが良いでしょう。
 アンテナ部品を製作するための部品についての注意点は、何をそろえておくかです。抵抗、コンデンサ、配線材等は安価ですし、他の製作にも流用できるので、多めに保有しておいても無駄にならないでしょう。しかし、半導体、コイル、コア、UHF特有の部品は流用しにくい部品で、複数の種類のものを比較しなければならないことも多いです。
 そこで、筆者は、必要な時に少量かつ多種類の購入を行うようにしています。様々なアンテナ部品で使い回しが効く同軸ケーブル、F型接栓などは、まとめ買いでも良いと思います。私は、3C同軸ケーブルの片端にF型接栓をつけて、反対側を基板に半田付けしています。接栓は10個などの袋入りだと1000円程度です。アンテナ部品同士は100円ショップで手に入る中継器で接続します。「
同軸ケーブル」も参照してください。

 製作上で注意しなければならない点は、周波数の高いUHF波を取り扱っているということです。一般的な電子工作は、多少の配線の長さを変えても、あまり影響がありませんが、UHF波は数ミリの配線長の違いによって特性が変化してしまう場合があります。

 見落としがちなのは、GNDの配線です。GNDであっても、配線の長さを気にしなければならないのです。また、基板についても、通常の紙フェノール基板だと湿気などによる吸湿によって特性が変化してしまう場合があります。ガラスエポキシ基板、またはガラスコンポジット基板を使用した方が良いでしょう。

 本ページでは2.54mmピッチのユニバーサル基板を使って基板の製作例を示します。配線長が同じようになるように留意してください。


アッテネータ(減衰器)


            ┏━━┓
 ━━━━┳━ ┌─●─┨R2┠─●─┐ ━┳━━━━━
  同軸線┠──┘┏┷┓┗━━┛┏┷┓└──┨同軸線
 ━━━━┻━┐ ┃R┃    ┃R┃ ┌━┻━━━━━
       │ ┃1┃    ┃3┃ │
       │ ┗┯┛    ┗┯┛ │GND
     ┯┯┿┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯
                ※BSコンバータ電源は使用できません
   ATT |   R1   |   R2    |   R3   ───┼───────┼────────┼────────    1dB | shunt R1=1500| Series R2 = 8.2| shunt R3=1500    2dB | shunt R1= 680| Series R2 = 18| shunt R3= 680    3dB | shunt R1= 430| Series R2 = 27| shunt R3= 430    5dB | shunt R1= 270| Series R2 = 47| shunt R3= 270   10dB | shunt R1= 150| Series R2 = 100| shunt R3= 150   20dB | shunt R1= 91| Series R2 = 390| shunt R3= 91

アッテネータ計算表
ATT R1 R2 R3
dB Ohm Ohm Ohm
VSWR=1: ATT= dB
条件:Zo=Ohm
                            無断コピー禁止
 ブースター用電源やBSコンバーター電源を使用する場合は、アッテネータに直流電流を通過するためのインダクタとコンデンサを追加する必要があり ます。

             ┏━━━┓             
            ┌┨ L1 ┠┐            
            |┗━━━┛|            
 ━━━┳━      |┏━━━┓|      ━┳━━━ 
 入力→┠────●──●┨ R2 ┠●─―●――──┨→出力 
 ━━━┻━┐  |   ┗━━━┛   |  ┌━┻━━━ 
      |  |┏━━━┓ ┏━━━┓|  |      
      |  └┨ R1 ┠●┨ R3 ┠┘  |      
      |   ┗━━━┛|┗━━━┛   |      
      |      ┏━┷━┓      |      
      |      ┃ C1 ┃      |      
      |      ┗━┯━┛      |GND
    ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯    
               L1=1μH、C1=100pF

 コンデンサーC1は、電流通過型に対応するための直流カットに用いています。アッテネータとして動作する範囲は、90M〜900MHzくらいで、コンデンサーC1の値を1000pFに増やせば、40〜600MHzくらいになります。100pFと1000pFの両方を並列に接続して使用すると、コンデンサーやリード線に含まれる小さなインダクタンス成分によって共振回路が出来てしまい、正しく、動作しなくなります。


電流通過型アッテネーターの製作例


電流通過型アッテネーターの基板図


電流通過型アッテネーターの特性例

 別資料「アッテネータの製作手順」に詳細な製作方法を記載しています。ダウンロードしていただき、活用してください。


可変アッテネータ(可変減衰器)

 テレビ放送の受信実験では、アッテネーターの減衰量を可変することも多いので、可変アッテネータを製作してみました。回路は、上記の通常のアッテネータと変わりません。下図の完成図を見て製作してみてください。

可変アッテネーターの製作例
可変アッテネータの製作例(表面)

可変アッテネーターの基板背面図
可変アッテネータの製作例(基板の裏面)

 スイッチは6P2回路のトグルスイッチを使用しました。スイッチを上側に倒すと、下側の各アッテネーターを直列に縦続接続するようになっています。
 減衰量は、左から順に、1dB、1dB、2dB、5dB、10dB、20dBです。1dB〜39dBまでを設定することが出来ます。


ダミー抵抗器、終端抵抗器
(ダミーロード、擬似負荷、ターミネーター、終端器)

 分配器の空き端子などに取り付けるダミー抵抗器です。
 別資料「
ダミー抵抗器の製作手順」をダウンロードいただくと、より製作方法が分かりやすいと思います。

 ━━━━┳━ ┏━━┓     ※ブースタ等用電源使用時はCが必要
  同軸線┠──┨ C ┠──┐
 ━━━━┻━┐┗━━┛ ┏┷┓     R=75Ω
       │     ┃R┃     (C=100pF)
       │     ┃ ┃
       │     ┗┯┛GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯
                            無断コピー禁止

BPF(バンドパスフィルタ)

 必要な周波数帯の電波を通過させて、その他の周波数の電波を弱める働きをするのがBPFです。以下に最も簡単なBPFの回路図、製作例、特性例を 示します。

   ━━━━┳━ ┌─●──●─┐ ━┳━━━━━
    同軸線┠──┘┏┷┓┏┷┓└──┨同軸線
   ━━━━┻━┐ ┃L┃┃C┃ ┌━┻━━━━━
         │ ┃ ┃┃ ┃ │
         │ ┗┯┛┗┯┛ │GND ※ブースタ等用電源使用厳禁
       ┯┯┿┯┯┿┯┯┿┯┯┿┯┯
          最も簡単なBPF
       fo = (2*π*sqrt(L1*C1) )^(-1)
     周波数fo | 帯 域 |  L1  |  C2    ───────┼─────┼─────┼─────     約 498 MHz |約 400 MHz| 6.8nH  | 15 pF     約 513 MHz |約 800 MHz| 12 nH  |  8 pF
                          無断コピー禁止

簡単なBPFの製作例(基板厚=1.0mm)


製作のための主要部品(アンテナケーブル除く)


GNDとコンデンサのハンダ付け


簡単なBPFの特性例

 基板には前述のガラスエポキシかガラスコンポジットを使用します。製作例では、1.0mm厚の基板を使用しています。


BPF(HPFとLPFの組み合わせによる)

 次に、HPFとLPFを組み合わせたBPFを示します。左側のC1とL1がHPFの役割を、右側の2つのC2とL2がLPFの役割を果たします。

 ━━━━┳━ ┏━━┓      ┏━━┓    ━┳━━━━
  同軸線┠──┨C1┠─●──●─┨L2┠─●───┨同軸線
 ━━━━┻━┐┗━━┛┏┷┓┏┷┓┗━━┛┏┷┓┌━┻━━━━
       │    ┃L┃┃C┃    ┃C┃│ ※ブースタ等用
       │    ┃1┃┃2┃    ┃2┃│  電源使用厳禁
       │    ┗┯┛┗┯┛    ┗┯┛│GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┿┯┯
         HPFとLPFを組み合わせたBPF
    役 割  | 部品 | 定 数 |備考   ───────┼────┼─────┼──────────   HPF(380MHz)| C1 | 4pF |チップコンデンサ          | L1 | 22nH |Φ2.8×3巻き L=1.5mm   ───────┼────┼─────┼──────────   LPF(700MHz)| C2 | 3pF |チップコンデンサ          | L2 | 34nH |Φ2.8×5巻き L=4.5mm   ───────┼────┼─────┼──────────   LPF(1GHz)| C2 | 2pF |チップコンデンサ          | L2 | 24nH |Φ2.8×4巻き L=4.0mm

 LPFは、カットオフ周波数を約700MHzにするか、約1GHzにするかを決めてから、適切な定数を使用してください。携帯電話の基地局からの影響を防ぐには、700MHzを選ぶと低減することが可能です。しかし、アンテナ方向に基地局が見えるような場合は、携帯電話の周波数を抑圧するためのBEFを別途、追加した方が良いでしょう。


BEF、BRF(バンドエリミネーションフィルタ,ノッチフィルタ)

 不要な周波数帯の電波を弱める働きをするのがBEFです。周波数幅が狭いタイプのBEFをノッチフィルタと呼ぶこともあります。

            ┏━━┓
 ━━━━┳━    ┌┨L1┠┐    ━┳━━━━━
  同軸線┠─────●┗━━┛●─────┨同軸線
 ━━━━┻━┐   │┏━━┓│   ┌━┻━━━━━
       │   └┨C2┠┘   │
       │    ┗━━┛    │GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
        最も簡単なBEF(BRF)
       fo = (2*π*sqrt(L1*C1) )^(-1)
  周波数fo | 帯 域 | L1 |  C2 |備考  ──────┼─────┼────┼─────┼───────   約 419 MHz|約 90 MHz| 12 nH |  12 pF |   約 459 MHz|約 105 MHz| 12 nH |  10 pF |   約 484 MHz|約 120 MHz| 12 nH |   9 pF |   約 513 MHz|約 130 MHz| 12 nH |   8 pF |   約 549 MHz|約 150 MHz| 12 nH |   7 pF |   約 593 MHz|約 180 MHz| 12 nH |   6 pF |  ──────┼─────┼────┼─────┼───────   約 409 MHz|約 40 MHz| 5.6 nH |  27 pF |   約 453 MHz|約 50 MHz| 5.6 nH |  22 pF |   約 502 MHz|約 60 MHz| 5.6 nH |  18 pF |   約 549 MHz|約 70 MHz| 5.6 nH |  15 pF |   約 612 MHz|約 90 MHz| 5.6 nH |  12 pF |   約 672 MHz|約 105 MHz| 5.6 nH |  10 pF |  ──────┼─────┼────┼─────┼───────   約 914 MHz|約 350 MHz| 10 nH |   3 pF |携帯電話抑圧用   約 863 MHz|約 210 MHz| 6.8 nH |   5 pF |同上(基地局)  ──────┼─────┼────┼─────┼───────  390〜800 MHz|80〜380MHz| 8.2 nH | CVSSC2001|可変 4.2〜20pF
                          無断コピー禁止

 コンデンサC2にトリマコンデンサを使用すると、抑圧したい周波数を可変できるようになります。以下にスワロー誘電のトリマコンデンサを使用した製作例と特性例を示します。


簡単なBEFの製作例(基板厚=1.0mm)


簡単なBEFの基板図



簡単なBEFの特性例


         ┏━━┓  ┏━━┓
 ━━━━┳━ ┌┨L1┠┐┌┨L1┠┐ ━┳━━━━━
  同軸線┠──┤┗━━┛├┤┗━━┛├──┨同軸線
 ━━━━┻━┐│┏━━┓││┏━━┓│┌━┻━━━━━
       │└┨C2┠┘└┨C2┠┘│
       │ ┗━━┛  ┗━━┛ │GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
      段数を増やすことで減衰量を増やせる                           無断コピー禁止           ┏━━┓  ━━━━┳━  ┌┨L1┠┐      ━┳━━━━━   同軸線┠───┤┗━━┛├──┬────┨同軸線  ━━━━┻━┐ │┏━━┓│ ┏┷┓ ┌━┻━━━━━        │ └┨C2┠┘ ┃L1┃ │        │  ┗━━┛  ┗┯┛ │        │        ┏┷┓ │        │        ┃C2┃ │        │        ┗┯┛ │GND      ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯
         直列共振を追加した例                           無断コピー禁止              入力       ┌───┐  |  ┌───┐       │   │  │  │   ●──┐       │ ┏━○━━○━━○━┓┏┷┓┏┷┓       │ ┃  ̄ ̄ ̄ ̄    ┃┃C┃┃L┃       │ ┃ ____    ┃┃2┃┃1┃       │ ┗━○━━○━━○━┛┗┯┛┗┯┛       │   │  │  │   ●──┘       └───┘  |  └───┘        OFF   出力   ON
      スイッチ付で段数を増やせば使いやすい                           無断コピー禁止               ┏━━┓  ━━━━┳━      ┌┨C2┠┐      ━┳━━━━━   同軸線┠────┬──┤┗━━┛├──┬────┨同軸線  ━━━━┻━┐ ┏┷┓ │┏━━┓│ ┏┷┓ ┌━┻━━━━━        │ ┃L1┃ └┨L2┠┘ ┃L3┃ │        │ ┗┯┛  ┗━━┛  ┗┯┛ │        │ ┏┷┓        ┏┷┓ │        │ ┃C1┃        ┃C3┃ │        │ ┗┯┛        ┗┯┛ │GND      ┯┯┿┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯
         帯域幅を広げたBEFの例          (詳細=「基礎編-フィルタ」)                           無断コピー禁止


分配器/分岐器/混合器

 ここでは、分配器の一例を示します。これ以外の方式は、下記を参照ください。

     分配器:「対策編-
分配器

     分岐器:「対策編-分岐器

     混合器:「対策編-混合器


 下図は、比較的、容易に製作ができる自作分配器の製作例と回路図です。

自作分配器

自作分配器

自作分配器の回路図

自作分配器 L3= 22nH, C1=C2= 4pF, R=150Ω

※ブースタ等用の電源は使用できません。

 下図は測定結果です。損失は約4dB、出力間のアイソレーションは約14dBと、地上デジタル放送の分配器として、利用可能な特性が得られました。しかし、HPF型のため、VHF周波数に対しては大きな減衰があって使用できません。VHFを含むアナログ放送とデジタル放送とを分けたい場合は、回路図のL3とC1〜2を入れ替え、LPF型で製作を行います。

自作分配器の挿入損失
自作分配器の挿入損失(約4dB)

自作分配器のアイソレーション
自作分配器のアイソレーション(14dB@500MHz)

 上図では、アイソレーションの中心周波数が、やや左にずれていて、500MHzになっていません。C1→L3→C2が約400MHzの特性を示しているのだと思います。L3を小さくすることで、アイソレーションのピークを500MHzに移動させることも可能ですが、HPFの特性も高い周波数側に移動するので、肝心な地上デジタル放送の損失が、増加してしまいます。どちらのスペックが重要なのかは、用途によって異なりますが、一般的な分配器として使用するのであれば、L3=22nHのまま使用したほうが良いでしょう。

 参考=「対策編-分配器


不平衡75Ω←→平衡300Ω変換器
(インピーダンストランス、マッチングトランス)

 2個のトランスによる同軸線(75Ω)とフィーダー線(300Ω)の間に挿入してインピーダンスを変換するインピーダンス変換器です。
 右側のトランスは省略することができますが、フィーダー線の電気長のバランスが崩れるので、UHF以上の周波数の場合は、省略しない方が良いでしょう。

          (同軸線)
           75Ω
         ○ ←→ ○
        GND|   |
         ▼   ┷100p
             ┯
         1:1   |75  1:1 
      ┌─┐ ┌──●──┐ ┌───┐
      ▼ ∫||∫ 150 150 ∫||∫   |
     GND  ∫||∫     ∫||∫   |
       150∫||∫150    0∫||∫0   |0Ω
        | |     | |   |
        | |GND    | └───●
        | ▼     |     |GND
        |       |     ▼
      300/2|       |300/2
        ○ ←― 300―→ ○
             Ω
         (フィーダー線)
                ※ブースタ等用電源は使用できません

                          無断コピー禁止
           平衡・不平衡変換器

 参考=「対策編-
分岐器


50Ω←→75Ωインピーダンス変換器
(インピーダンストランス、マッチングトランス)

 計測機器の入力インピーダンスは50Ωのものが多く、また、アンテナ部品以外の高周波部品も50Ωのものが多いので、50Ωと75Ωのインピーダンス変換器が必要になることがあります。
@LC回路によるインピーダンス変換器(損失少、狭帯域)
 下図はLC回路によるインピーダンス変換器の回路図です。

   50Ω                    75Ω ア
 測 ━━━━┳━    ┏━━┓      ━┳━━━━ ン
 定  同軸線┠─────┨C1┠─●─────┨同軸線  テ
 器 ━━━━┻━┐   ┗━━┛┏┷┓  ┌━┻━━━━ ナ
         │    9pF  ┃L┃  │       部
         │      33┃2┃  │       品
         │      nH┗┯┛  │GND
       ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┿┯┯ ※電源重畳厳禁
     LC回路によるインピーダンス変換器 (無断コピー禁止)

 インピーダンス変換器の測定結果の例を下図に示します。地上デジタル放送の周波数である500MHz付近は、ほとんど減衰しません。しかし、HPF型になっているので、300MHz以下の周波数では大きく減衰していますので、主にアナログテレビ放送で使用しているVHF帯では使用できません。


インピーダンス変換器の通過損失測定例

 下図はインピーダンス変換器の反射損失の測定結果です。筆者の測定系の都合上、600MHz以上は測定できませんが、500MHz付近で−20dB以下の良好な特性が得られていることが分かります。


インピーダンス変換器の反射損失(※)測定例

 反射損失は整合の度合いを示しています。負の数字が大きいほど、電波の損失である通過損失は少なく、−20dB以下(VSWR=1.2以下)での通過損失は計算上、0.04dBとなります。実際には、抵抗分で損失したり、電波となって輻射したりするので、計算どおりにはなりません。
Aλ/4位相器によるインピーダンス変換器(損失少、狭帯域、左右対称)
 λ/4位相器によるインピーダンス変換器を下図に示します。位相器を用いた場合、75Ω→50Ωも、50Ω→75Ωも同じ回路になる特長があり、
分配器にも応用できます。
 しかし、LPF型の回路で構成されているので、600MHz以上の周波数で減衰してしまう欠点もあります。

 50/75Ω     ┏━━┓      75/50Ω
 ━━━━┳━ ┌─●─┨L2┠─●─┐ ━┳━━━━━
  同軸線┠──┘┏┷┓┗━━┛┏┷┓└──┨同軸線
 ━━━━┻━┐ ┃C┃    ┃C┃ ┌━┻━━━━━
       │ ┃1┃    ┃3┃ │
       │ ┗┯┛    ┗┯┛ │GND
     ┯┯┿┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯
   50Ω←→ 75Ω変換 C1=5pF L2=18nH C3=5pF (fo=500 MHz)    75Ω←→150Ω変換 C1=3pF L2=33nH C3=3pF (fo=500 MHz)
     位相器によるインピーダンス変換器 (無断コピー禁止)

 高い周波数を透過するHPF型だと、下図のようになります。

 50/75Ω  ┏━━┓   ┏━━┓   75/50Ω
 ━━━━┳━ ┌┨C1┠─●─┨C3┠┐ ━┳━━━━━
  同軸線┠──┘┗━━┛┏┷┓┗━━┛└──┨同軸線
 ━━━━┻━┐     ┃L┃     ┌━┻━━━━━
       │     ┃2┃     │
       │     ┗┯┛     │GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯
   50Ω←→ 75Ω変換 C1=6pF L2=20nH C2=6pF (fo=500 MHz)
     HPF型のインピーダンス変換器 (無断コピー禁止)

B抵抗器によるインピーダンス変換器(損失あり、広帯域)
 計測目的や、FMやVHF、BS、CS等の広範囲の変換が必要な場合は、下図のような抵抗による変換器を使用します。欠点は、6dBの損失が生じることです。

 50Ω(測定器)             75Ω(アンテナ部品)
 ━━━━┳━       ┏━━┓   ━┳━━━━━
  同軸線┠──────●─┨R2┠────┨同軸線
 ━━━━┻━┐   ┏┷┓┗━━┛  ┌━┻━━━━━
    Z1 │   ┃R┃      │ Z2
       │   ┃1┃      │   ※ブースタ等用電源は
       │   ┗┯┛      │GND   使用できません。
     ┯┯┿┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
  通常測定用 R1=82Ω R2=47Ω ATT=6.0dB (Z1=49Ω、Z2=78Ω)   精密測定用 R1=91Ω R2=43Ω ATT=5.7dB (Z1=51Ω、Z2=75Ω)   超高精度  R1=87Ω R2=43Ω ATT=5.7dB (Z1=50Ω、Z2=75Ω)
     抵抗によるインピーダンス変換器 (無断コピー禁止)

 参考=「対策編-混合器


ラインブースター

  下図のようなラインブースターを製作してみました。製作方法は「設計編-
自作ブースター」を参照下さい。


自作ラインブースター


パワーインジェクター(電源挿入器)

 パワーインジェクターは、電源分離型のブースターやラインブースター、BSコンバーターなどにアンテナ同軸ケーブルを使って電源を供給するための電源挿入器です。

                  ヒューズ━┳━━━━━
             ┌───●─〜〜──┨電源入力←
             |  ┏┷┓  ┌━┻━━━━━
             |  ┃C┃ GND│ (DC15V電源から)
            ┏┷┓ ┃ ┃ ┯┿┯
            ┃L┃ ┗┯┛100pF
           100┃ ┃ ┯┿┯ 
  入力(DC OUT)   nH┗┯┛        出力
 ━━━━━┳━     │ ┏━━┓   ━┳━━━━━
   同軸線┠──────●─┨ C ┠────┨同軸線
 ━━━━━┻━┐      ┗━━┛  ┌━┻━━━━━
 (ブースターへ)│       100pF  GND│(チューナーへ)
      ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
  C=100pF、L=100nH〜、(直径10mm、2回巻き程度〜)
        自作パワーインジェクター回路図

 上図の右上の電源線はDC15Vの電源に接続します。電源回路にはヒューズ等の保護回路と、電源を安定化するコンデンサなどが必要です。電源を使用するときは、安全性に配慮してください。万が一、事故が生じても、当方は責任を負いません。

 参考=「設計編-
自作ブースタ



パワーインジェクターの製作例

 また、下図のような回路に変更することで、BSコンバーター用電源からの電圧を同軸ケーブルから取り出して外部の機器を動作させることも可能です。ただし、インダクタやBSチューナ(またはテレビ)の出力許容電流を確認しておく必要があります。(他の回路が許容電流を上回らないこと)

                      ━┳━━━━━
             ┌───●─────┨電源出力→
             |  ┏┷┓  ┌━┻━━━━━
             |  ┃C┃ GND│  (他の回路へ)
            ┏┷┓ ┃ ┃ ┯┿┯
            ┃L┃ ┗┯┛100pF
           100┃ ┃ ┯┿┯ 
  入力(DC OUT)   nH┗┯┛        出力
 ━━━━━┳━     │        ━┳━━━━━
   同軸線┠──────●─────────┨同軸線
 ━━━━━┻━┐            ┌━┻━━━━━
(BSチューナへ)│           GND│(BSアンテナへ)
      ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
        BS電源取り出し器 回路図

 アンテナプラグを利用したBS電源取り出し器の製作例を下図に示します。


BS電源取り出し器 製作例


50Ωパワーインジェクター(インピーダンス変換器つき)

 下図は、50Ωのインピーダンス変換器つきのパワーインジェクターの製作例です。市販の地デジ用ブースターを50Ωの測定器などに接続することが出来ます。ただし、50Ωに変換されるのは500MHz付近のみなので、広帯域に50Ω整合をとりたい場合は、抵抗によるインピーダンス変換器と通常の75Ωパワーインジェクターを組み合わせて使った方が良いでしょう。

CQ出版 パワーインジェクター
50Ωパワーインジェクター

             ┏━━━┓100pF 1000uF 10uF  +
     ┌──●──●─┨ 220nH┠─●──●──●──○
   100┏┷┓ | ┏┷┓┗━━━┛┏┷┓┏┷┓┏┷┓ DC
   pF┃C┃ | ┃C┃     ┃C┃┃C┃┃C┃ 15
    ┃ ┃┏┷┓┃ ┃     ┃ ┃┃ ┃┃ ┃ V
    ┗┯┛┃33┃┗┯┛100pF   ┗┯┛┗┯┛┗┯┛┌○
    ┯┿┯┃nH┃┯┿┯     ┯┿┯┯┿┯┯┿┯┿
75Ω入力  ┗┯┛
(DC OUT)    |        50Ω出力
━━━━┳━  │  ┏━━┓   ━┳━━━━
 同軸線┠───●──┨ C ┠────┨同軸線
━━━━┻━┐    ┗━━┛  ┌━┻━━━━
      │      9pF  GND│
    ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯
50Ωパワーインジェクターの回路図


雷サージプロテクター

 下図は簡易的な雷サージプロテクターの製作例です。インダクターのLは自作の空心コイルが良いでしょう。少し、太めのスズめっき線を使用します。簡易的なもので、直接、アンテナに落雷があった場合は耐えられません。ご注意ください。

               ┌───┐
              ┏┷┓  |
             100┃L┃  |
             nH┃ ┃  |
    入力    100pF  ┗┯┛  |      出力
 ━━━━━┳━  ┏━━┓ │   ┷┳━━━━━━━━━
   同軸線┠───┨ C ┠─●────┨同軸線(チューナへ)
 ━━━━━┻━┐ ┗━━┛    ┌━┻━━━━━━━━━
(UHFアンテナへ) │ ┏━━┓100pF  │     
        └─┨ C ┠┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯
          ┗━━┛    GND(アースへ)
        雷サージプロテクター(簡易型)


パワーディテクター(電力検波器)

パワーディテクターの製作例

 パワーディテクターとは、電波を検出して電圧に変換する部品です。ブースター等で増幅された電波を検出することが可能です。
 下図は、2個のショットキーバリアダイオードを使用したパワーディテクターの回路図です。約50dBuV以上(7波入力時)の電波の有無や強度の増減を測定することが出来ました。

━━┳━ ┏━━┓   ┏━━┓   ┏━━┓      出力
同軸┠──┨C1┠─●─┨C4┠─●─┨>| ┠─●──●──●─○
━━┻━┐┗━━┛┏┷┓┗━━┛┏┷┓┗━━┛┏┷┓┏┷┓┏┷┓↑
    │ 2pF  ┃L┃ 100pF ┃─┃ 1SS86 ┃C┃┃R┃┃C┃電
    │   24┃ ┃    ┃△┃    ┃2┃┃ ┃┃3┃圧
    │   nH┗┯┛  1SS86┗┯┛  100pF┗┯┛┗┯┛┗┯┛↓
  ┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┿┯┯┿─○
                         1MΩ 0.01uF
パワーディテクターの回路図

 上図の右側の端子にはデジタルテスターを接続します。この配線にノイズが混入しやすいので、なるべく30cm以内の銅線を使用します。また、プラス側とマイナス側の銅線が離れないように相互にねじっておきます。(ツイストペア)
 C3に0.01uF程度のセラミックコンデンサを追加することで配線のノイズを緩和できる場合があります。

 実際のアンテナで受信した電波の強度を測定するには、感度の不足を補ったり、ノイズの影響を少なくするために、フィルタやブースターを使用します。

   ┏━━━━┓ ┏━━━━┓ ┏━━━━┓ ┏━━━━━┓
   ┃アンテナ┠→┃(BPF)┠→┃ブースタ┠→┃ディテクタ┃
   ┗━━━━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━━┛

 製作後、インダクタLの調整が必要です。実際の電波を受信して出力電圧が最も高くなるように調整します。インダクターはリード線などで製作しますが、長さによって特性が大きく変化します。十分な電波を入力しても電圧が発生しない場合は、いろいろなインダクタを作成して、長さを調整してください。

 コイルは直径3.0mmで3回巻きで、リード込みで24nHくらいにします。

 製作後にインダクタンスを調整するには、ループ間隔を調整します。間隔を狭めるとインダクタンスは上昇し、間隔を広げたり、ループの一部を外側に折り曲げたりするとインダクタンスは小さくなります。
 なお、インダクタ(自作コイル)の製作方法は
次節でも説明しています。

 本パワーディテクターは、書籍「地デジTV用プリアンプの実験」にも掲載しています。詳しい製作方法や調整の方法の解説と、ディテクター製作用の専用基板まが付属します。

自作パワーディテクターの感度例
受信レベル 自作ディテクタ
出力電圧
市販チェッカー
7波入力 1波入力 VOL ランプ
66dBuV 74dBuV 20.1mV min. ☆☆☆☆☆
64dBuV 72dBuV 13.1mV min. ☆☆☆−−
61dBuV 69dBuV 5.9mV min. ☆−−−−
58dBuV 66dBuV 3.3mV 不定   不定
55dBuV 63dBuV 1.5mV 不定   不定
53dBuV 61dBuV 0.9mV max. ☆☆☆☆☆
51dBuV 59dBuV 0.6mV max. ☆☆☆☆−
49dBuV 57dBuV 0.4mV max. ☆☆☆−−
47dBuV 55dBuV 0.3mV max. ☆☆−−−
45dBuV 53dBuV 0.2mV max. ☆−−−−

 お手持ちのデジタルテスターの性能の都合で、どうしても正い測定結果が得られない方のために、自作パワーディテクターにオペアンプを追加した例についても、紹介しておきます。パワーディテクターに影響を与えないように、入力インピーダンスの高いJRC製NJM2082を使用しましたが、より安価なものでも大丈夫だと思います。


自作ディテクターにオペアンプを接続した例


自作コイル
(インダクター,巻き線コイル,空芯コイル)

 「コイルを自作するなんて」と思われるかもしれませんが、一度は、試してみましょう。
 コイルの値はインダクタンス[nH]で表されます。また、自作コイルの設計のために、最も覚えやすい公式を、紹介しておきます。
 1回巻き、直径φ1mm、全長1mmのインダクタが、約1nH×長岡係数になることから、下記の式が導かれます。

   インダクタンス L[nH]
    = 長岡係数K × (巻数n × 直径D[mm] )^2 / 長さl[mm]

                    真空の透磁率をμo=4πE-7
                    L = K*μo*n^2*S/l

 長岡係数は、コイルの直径と長さの比で決まり、およそ、以下のようになります。より詳しくは、「インダクター計算表」で計算してください。

     │コイル型│ 筒型 │サイコロ│ボタン型│コイン型
─────┼────┼────┼────┼────┼────
     |    |    |    |    |
イメージ図|||||||||| ||||| | |||  |  ‖  |   |
     |    |    |    |    |
─────┼────┼────┼────┼────┼────
   K=|  1  | 0.8 | 0.7 | 0.5 | 0.3
─────┼────┼────┼────┼────┼────
  D/l=|  0  | 1/2 | 1/1 | 2/1 | 5/1
─────┴────┴────┴────┴────┴────

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 実際にコイルを作ってみましょう。下記の表は、製作したコイルの設計情報および、計算表です。

自作コイル 設計情報
φ直径D[mm] 巻き数n 長さl[mm] インダクタL[nH]
2.8 mm (2.3mm) 2 回 1.5 mm 自称 10 nH
2.8 mm (2.3mm) 2 回 0.8 mm 自称 12 nH
3.3 mm (2.8mm) 2 回 1.0 mm 自称 15 nH
4.0 mm (3.5mm) 2 回 1.5 mm 自称 18 nH
2.8 mm (2.3mm) 3 回 1.5 mm 自称 22 nH
2.8 mm (2.3mm) 4 回 2.3 mm 自称 27 nH
2.8 mm (2.3mm) 5 回 4.5 mm 自称 33 nH
5.5 mm (5.0mm) 3 回 4 mm 自称 33 nH

インダクター計算表
直径D mm
巻き数n
長さl mm
(比透磁率)
長岡係数(近似)
nH
 コイルの巻線には、直径0.3mm〜0.5mm程度のリード線の余りや、ポリウレタンエナメル銅線(UEW)を使用します。
 まず、はじめに、およそのコイルの形を形成する為に、リード線を円柱状の棒に巻きつけます。例えば、精密ドライバーなどにリード線を巻きつけると簡単です。このとき、リード線にも直径があることに考慮します。コイルの巻線の直径には、リード線の直径を含みません。そこで、下表の括弧内にリード線分(0.5mm)を減算した精密ドライバーの直径を表しました。たったこれだけの違いが特性に影響しますが、あまり気にしなくても大丈夫です。
 なお、マイナスドライバーに巻き付けると、形成したコイルが取り外せない場合があります。プラスドライバーの方が良いでしょう。

自作コイルの写真
製作した自作コイル

自作コイルを使ったフィルター
自作コイルを使ったBEF(バンドエリミネーションフィルタ)

 自作コイルの値が正しいかどうかは作ってみないと分かりません。また、製作後には調整が必要です。
 インダクタンス[nH]の値に大きく影響するのはコイルの全長です。ハンダ付け部分を暖めながらコイルの全長を短い方に調整したり、全長を変えた複数のコイルを作っておいて付け替えたりして調整します。

 製作後の微調整では「ループ間隔」を変更します。ループ間隔を狭くするとインダクタンスL[nH]は大きくなり、広くすると小さくなります。これは、前記の式で巻き間隔がコイルの長さl[mm] に相当することからも分かります。
 コイルの一部のループを外側に折り倒して、インダクタンスを小さくすることも出来ます。

 以上のように、多くの場合はインダクタンスを小さくする方向に調整することになるので、設計時点で高めのインダクタンスに設定しておくと調整しやすいでしょう。

 もし、スペアナや信号発生器をお持ちでしたら、上図BEFのようにチップコンデンサを並列に接続し、共振周波数を測定することで、インダクタンスを求めることが出来ます。

   中心周波数fo
    = (2*π*sqrt(L1*C1) )^(-1)

 BPFでも測れそうに思われるかもしれませんが、帯域が広いと共振周波数が測りにくいので、BEF(ノッチ)で測った方が良いでしょう。


部品を買う

 電子部品はパーツ店で販売されています。しかし、パーツ店で部品を集めるのも大変な作業です。現在は、インターネットの通信販売での購入が簡単です。ただし、インターネット通販では、よく売れるような部品しか扱われなくなっていたり、個人での購入をさせてもらえない通販サイトも多いです。
 特に、10nH程度の小さなコイル(チップインダクタ)は入手しづらく、パーツ店で注文する場合も、100個などのまとまった単位になります。
 一方、抵抗やコンデンサは、コイルと比較して、多く売られています。高周波回路ではリード線が部品の特性に影響を及ぼすので、チップ抵抗、チップコンデンサと呼ばれるリードの無い小さな部品が使用されます。

チップ抵抗、チップコンデンサのサイズ
サイズ名 寸法 入手性 取り扱い 価格
サイズ1608 長さ1.6mm×幅0.8mm 良い:★★★ 難易:★ 10円前後
サイズ2012 長さ2.0mm×幅1.2mm 悪い:★ 普通:★★ 10円前後
サイズ3216 長さ3.2mm×幅1.6mm 悪い:★ 安易:★★★ 10円前後

 最近では、サイズ1608(1.6mm×0.8mm)のチップ部品が増加してきていますが、下図のように非常に小さいので、ハンダ付けの練習が必要です。ピンセットでチップの幅方向を支えながら金属の端子部分にハンダ付けを行います。

1608チップコンデンサ
サイズ1608のチップコンデンサ

チップ抵抗
 チップ抵抗はセット(例=72種50個)で販売されていて5500円(単価1.5円)前後です。種類や数量の少ないセットであれば1000円前後でも売られています。

 サイズは2012と1608が一般的です。
チップコンデンサ
 コンデンサは容量ごとに販売されていて10個100円程度です。数量によって、100個400円(単価4円)、1000個2000円(単価2円)のように単価が大きく変化します。パーツ(コンポーネンツ)の値段とは、多くの種類の部品を販売店が保有する管理コストにあるのです。サイズは1608が主流になりつつあります。

インダクタ/コイル
 コイル/インダクタには、リード型、チップ型、空芯コイルの3種類があり、それぞれ、特長に違いがあります。
 リード型インダクタには、抵抗器と同じような筒型形のアキシャルリード型と、セラミックコンデンサーと同じような平板形のラジアルリード型があります。小さなインダクタンスが実現できるのはアキシャル形です。しかし、アキシャル型であっても、0.22μH(220nH)が最も小さく、UHF帯で使用する100nH以下の部品は売られていません。
チップ型インダクタ/コイル
 チップ型のインダクターは、100nH以下のものも製造されていますが、残念ながら、今のところ入手が困難です。サンプルボックスは2万5千円程度で売られています。各50個74種類で単価6円は格安ですが、不要な部品が多すぎて、割高になると思います。サイズが小さい特長から、携帯機器などの小型のチューナー回路に多様されています。今後は入手が容易になってゆく可能性もあります。

 空芯コイルは、UHF帯のアンテナ部品などで多用されていますが、こちらも部品として購入するのは難しいです。プラスチックの筒に巻きつけられたタイプが売られている場合があり、多くは33nH以上です。より小さい値も手に入ることがありますが、なかなか難しいでしょう

 以上のように、100nH以下のコイルの価格は、とても流通が少ない為、例え、買えたとしても、1個50円〜、100個2000円(単価20円)程度と高価です。このため、筆者は手作りのコイルを使用しています。

 なお、コイルのインダクタンスは[μH]で表示されている場合と、[nH]で表示されている場合があります。[nH]の場合は「N」を付加して「33N」等と表示されます。[μH]は数字のみの表示で「0.033」等のように表示されます。


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